ヨーロッパの国々で、「煙突掃除人」は幸運のシンボルとされているそうです。今回はドイツ、オーストリア、ブルガリアでの「煙突掃除人」について調べてみました。国が変われば縁起物もなかなか違うものです。面白いですよね!
もくじ
ドイツの煙突掃除屋さん
ドイツでは、煙突掃除屋さんが幸運をもたらすといわれています。また、煙突掃除屋さんにさわると幸運がくるそうです。昔、寒い冬に煙突が詰まってしまうと暖炉が使えず、凍えてしまうし料理もできない、それを煙突掃除人が直してくれると再び家族に幸せが訪れる。というところから、幸せのシンボルになったそう。
「煙突掃除人形」が売られています。
サンタクロースが煙突から入ってくるお手伝い?をするからなのでしょうか?ドレスデンのクリスマスマーケットでは、手足と体を干したプラムで作った名物「煙突掃除人形」が売られています。必ずハシゴをもって、シルクハットをかぶった煙突掃除夫の姿をしているのが特徴です。
幸せを運ぶ煙突掃除人
冬のヨーロッパ、ドイツやイギリス等の寒さが厳しい地方では、 暖炉を愛用している家庭が沢山あります。 調理もかまどで行なっている為,煙突が詰まってしまうと食事の 支度が出来なくなるだけでなくガス中毒になるかもしれません。 そのため煙突掃除は欠かせない仕事でした。
「サンタクロースは何故煙突から」 4世紀の小アジアのミュラ司教の教父聖ニコラウスの伝説があります。3人の娘の身売りまで考えていた貧しい家庭に、ある夜煙突から 金貨を恵みました。その金貨が暖炉の横にかけてあった靴下に入り、その金貨のお陰で娘は身売りを避けられたそうです。 煙突は天の神様 地の神様を結ぶ架け橋です。 こんな事から煙突掃除人は幸運のシンボルになりました。
オーストラリアでは金のボタンを握らせてもらいながら 願い事を
オーストラリアのウイーンでは「煙突掃除人に会うと幸せになれる」 というジンクスがあります。 街で彼らにあったら金のボタンを握らせてもらいながら 願い事をします。その時決して声を出してはダメです。
その後、願い事をウイーン名物の黄色ポストに向かって コッソリ言うと願い事が願い事がかなうそうです。 子供たちの楽しい光景が目に浮かぶような話しですね。
ボタンはmagischer Kreis (魔法の円)を象徴するからです。
オーストラリアの煙突掃除屋さん
記録によると、煙突掃除同業者組合は中世の頃に登場したようで、 バーベンベルク王朝の時代1221年に煙突掃除の 義務が出されています。 掃除をしていない煙突は煤(すす)などが 時と共に積もって、火災の原因になりました。 また家主は自分で汚い煙突を掃除しなければ ならなかったわけで、それも当時はとても労作業だったわけです。
そこで煙突掃除という新しい職業が登場し、 煙突掃除屋は、火災になる原因をきれいに 取り除いてくれる・・・自分でその大変な作業をする必要がなくなる・・・ ということで幸運をもたらす象徴となったわけです。
ブルガリアの幸運を運ぶ煙突掃除屋さん
真っ黒な帽子。
真っ黒なシャツ。
真っ黒なネクタイ。
真っ黒なズボン。そして手に持つワイヤーブラシ。ブルガリアを含め東欧ではこんな格好をした人を見かけることが稀にあります。奇妙ないでたちをした彼の正体は、街のえんとつそうじ屋さん。彼にさわると幸運になれるといわれています。彼が街を歩くと子供からお年寄りまで、みんなが彼に挨拶をしてそっと彼に触れていきます。公園で子供たちに芸を見せていたピエロさんも、えんとつそうじ屋さんに触りたがります。
ヨーロッパの各国でこれだけ共通である縁起物はないのかも知れません。ドイツをはじめ、オーストリア、イギリス、イタリア、ブルガリアとほとんどの国が同じように煙突掃除屋さんを幸運を運ぶ人として触りたがると言うのも、世界中の国々でもヨーロッパぐらいかも知れませんね。
制服は多少の違いはあっても同じような黒ずくめで、金のボタンをしている国やしていない国があるにしても、ほとんどの人が煙突掃除屋さんを見つけると触りにくる、そんなキャラクター日本にいてもいいような気がします。
暖炉があって煙突が沢山あった昔ならまだ分かりますが、その伝統は今でも続いて、そして今でも煙突掃除屋さんを見つけるとお爺さんお婆さんから、小さな子供まで触りに来るなんて平和で嬉しくなってしまいます。皆が煙突掃除屋さんを見つけた段階で幸せを感いている訳で、それで幸福を運んできていると言う事になっているのかも知れません。
触る事で幸福が訪れるのではなく、煙突掃除屋さんが仕事ができる環境である事が幸福に結びつくのかも知れません。いつまでも続けて欲しい縁起物です。