お盆にはさまざまなものをお供えします。
その中におはぎがあります。
どうしてお盆のお供えにおはぎをお供えするのかご存知ですか?
お盆におはぎをお供えするのには、ちゃんと理由があるのです。
ここでは、どうしてお盆におはぎをお供えするのかという理由や、おはぎを食べることで運気がアップすると言われているその理由についても、ご紹介していきます。
もくじ
お盆とは?
お盆とおはぎの関係について説明する前に、そもそもお盆とは何なのでしょうか?お盆の意味や現在のお盆事情について、ここでは詳しく解説していきます。
お盆の正式名称は「盂蘭盆会(うらぼんえ)」
お盆というのは正式名称ではありません。正式名称は「盂蘭盆会(うらぼんえ)」と言います。
日本語としては少し違和感がある正式名称です。それはサンスクリット語の「ウラバンナ」という言葉からきているからです。これには「逆さ吊り」という意味があります。
その昔、お釈迦様の弟子の一人が神通力で、自分の母親が地獄に落とされて逆さ吊りにされているのを見ました。弟子は何とか母親を助けたいと思い、お釈迦様に相談します。
するとお釈迦様は「7月15日に供物をささげて供養することで、地獄に落ちた母親を救うことができる」とおっしゃいました。弟子がその通りにすると、母親は極楽浄土へ旅立つことができたのだそうです。
インドで伝わったこの話と「ウラバンナ」という言葉が日本に伝わり、「盂蘭盆会」という行事としてい広まったと言われています。
お盆とは亡くなった人の霊を迎えて供養する期間
お盆とは、この世で亡くなってあの世へ行ってしまった霊をお迎えして供養する期間のことです。実はあの世へ旅立った霊はとても疲れていたり苦痛を強いられていたりします。
あの世へ旅立った霊は、すべてが天国へ行くことができるとは限りません。この世での罪を償いきれず、あの世でこの世の罪を償わなければならない霊もたくさんあるのです。
この世での罪を償わなければならなくなった霊は「地獄」へ行きます。そこで、さまざまな罰を受けて罪を償うのです。
罪を償うための罰は休むことなく続けられます。充分罪を償ったとあの世で認められるまで、永遠に罰を受け続けることになります。霊は肉体のように疲れることはありません。
そのため、肉体があった人間の時よりも罰を与えられて受ける苦痛は壮絶だと言われています。
ただ、いくら罪を償わなければならないからと言って、永遠に罰を与えられ続けるのはかわいそうだと神様は考えました。そこで、ある期間だけ罪から解放されて良いということになりました。
それがお盆です。
もともとお盆は地獄で罪を償い続けている霊の救済措置だったのです。
地獄にいる霊だけがこの世に帰ってくるのは不公平だという考え方もあり、天国に旅立った霊もお盆の時期に同時に帰ってきます。
ですが、本来のお盆は地獄で罪を償うためにボロボロになった霊を供養するための期間なのです。
お盆の時期は地域によって異なる
お盆の時期は地域によって異なります。全国的には8月13日から16日が多いようです。ですが、地域によっては7月13日から16日をお盆とするところもあります。
これは、旧暦と新暦の違いが原因です。お盆という風習が始まった江戸時代では、旧暦の7月14日と15日に執り行なわれていました。ただ、明治になって改暦が行なわれて現在の新暦が採用されました。現在の8月13日から16日は、旧暦の7月13日から16日に当たります。
お盆を旧暦で執り行なうのか、それとも新暦で執り行なうのかによって異なるので、お盆の時期も異なっているのです。</h3>
なぜお盆におはぎを供える
お盆におはぎをお供えするのはどうしてでしょうか?その理由には実は複数あります。ここでは、お盆におはぎをお供えする理由や注意点についてご紹介します。</h2>
お盆におはぎをお供えするのは魔除けの意味がある
お盆におはぎをお供えするのには、魔除けの意味が込められています。
おはぎの色に注目してみてください。おはぎの色は赤い色をしています。お盆が全国的に執り行なわれるようになった頃、「赤」は魔を追い払うと考えられていました。
おはぎに使われている小豆も赤い色をしています。
また、小豆の音は悪い霊が嫌う音とも言われていました。邪気を払う時、小豆をざるに入れて研ぐという儀式が行なわれることがあります。
小豆を研ぐ音は邪気が大変苦手とする音と考えられていたのです。
お盆には亡くなった人の霊をお迎えします。この時、お迎えしたくない邪気も一緒にくっついてくる可能性があります。そのような邪気を追い払うという意味で、おはぎをお供えするようになりました。
五穀豊穣を祈願する
お盆にお供えするおはぎには、もち米が使われます。もち米には「五穀豊穣(ごこくほうじょう)」の願いが込められています。昔はお祝い事の際にお餅を食べるという風習がありました。これは、同時に五穀豊穣も願ってより豊かに暮らせますようにという思いが込められています。
お盆の時には亡くなった人の霊だけではなく、神様も同時にいらっしゃると考えられていました。
亡くなった人の霊と一緒にいらっしゃった神様にもち米で作ったおはぎをお供えすることで、五穀豊穣を願っているのです。
おはぎそのものにはお祝い事の意味がある
お盆にお供えするおはぎそのものにも、お祝い事の意味があります。
亡くなった人の霊がお盆に帰ってくることで、霊は地獄での苦痛から解放されます。
一時的ですが、それはとてもめでたいことと考えられていました。苦痛から解放されるということそのものが、おめでたいことだったのです。
そのおめでたいことをお祝いするという意味でも、お盆におはぎがお供えされていると考えられています。</h3>
おはぎを供える時の注意点
お盆におはぎをお供えする時には、お供えする時期に注意が必要です。お盆の間ならいつでもおはぎをお供えしても良い、というわけではないのです。
13日から16日までにお供えする食べ物はそれぞれ決まりがあります。
お盆の初日に当たる13日には「お迎え団子」という団子をお供えします。甘いタレやあんこなどをお団子に乗せてお供えします。
14日には「おはぎ」をお供えします。おはぎは「おもてなし団子」と呼ばれています。お皿に盛りつけて飾り棚や祭壇などにお供えします。
15日には「そうめん」をお供えします。亡くなった人の霊があの世に帰る時、そうめんを手綱代わりにして牛に乗って無事あの世へ戻ることができるようにという願いが込められています。
これには諸説あります。
お盆の最終日になる16日には「送り団子」をお供えします。真っ白のままの団子をお供えします。これは亡くなった人の霊にあの世へ持って帰ってもらうための団子です。
あの世へ戻ってもひもじい思いをしないようにという願いが込められています。
このように、お盆のそれぞれの日にはお供えする食べ物が決まっています。おはぎは14日にお供えすることになります。</h3>
供えたおはぎは食べてもいいの?
お盆にお供えするおはぎは、お供えしたらすぐに食べても良いとされています。14日にお供えしたおはぎを15日まで置いておく必要はないということです。
特に夏場は食べ物が腐りやすい時期でもあります。「おさがり」としてすぐに食べるのが通例となっています。
また、おはぎには無病息災や招福万来などの意味が込められています。特にみんなで笑いながら楽しく食べると、「笑う門には福来る」とも言われています。
とても縁起の良い食べ物なのです。
お供えしておはぎはありがたい気持ちを持って、みんなで笑いながら頂くと幸運が引き寄せられてくるでしょう。</h2>
おはぎとぼたもちの違い
おはぎとぼたもちの違いということが良く取り上げられます。結論から言うと、どちらも同じです。ただ、呼び方が違うだけです。
春の牡丹の花が咲くころに食べるあんこの餅は、牡丹餅(ぼたもち)と言います。お盆にお供えするおはぎは、萩の花が咲くころです。そのため、おはぎと呼ばれています。
呼び方が異なるだけで、あんこで包まれた餅菓子であることに変わりはありません。</h2>
まとめ
お盆に食べるおはぎには、とても良い意味が込められています。
お盆の時にはおはぎを食べて、亡くなった人の楽しい思い出話に花を咲かせてみるのも良いかもしれません。