お盆の灯篭流しって?由来や精霊流しとの違いも解説!!

 
お盆の灯篭流しって?由来や精霊流しとの違いも解説

毎年夏になると、「灯篭流し」についてのニュースを見かけませんか?

灯篭流しは、夏の夜を美しく彩る風物詩。

ポウッと灯った明かりがゆらゆらと流れていく様は、誰の目にも幻想的に映ることでしょう。

今回は、灯篭流しの由来や、「精霊流し」との違いについてご紹介いたします。

歴史を知れば、さらに味わい深く灯篭流しを楽しめることでしょう。

灯篭流しとは?

灯篭流しは、死者を弔うための行事です。

「流し」と名が付く通り、灯篭流しが行われる場所は、川。

川や湖、海など、水に関することで亡くなった人を弔うために始まったといわれています。

「大人が大人の死を悼む」という難しい行事に感じがちですが、灯篭流しに参加しているお子さんも多くいます。

ほとんどの場合、すでに木や竹などで作られた灯篭をその場で購入し、文字を書いて流す・・・というスタイルですが、夏休みの制作としてご自宅で灯篭を作るご家族もいます。

用意は難しいことではありません。牛乳パックを半分切って箱型にし、イラストや文字を描いた紙を貼り付ければ、土台が完成。両面テープなどで底にLEDキャンドルを貼り付ければ、あっというまに手作り灯篭が完成します。

厳粛な雰囲気の中で行われる灯篭流しの一方で、花火と共に流される賑やかな灯篭流しもあります。

また最近では、水に関する死者を悼むという意味だけではなく、「原爆の被災者を慰霊する」「空襲の犠牲者を悼む」など、戦争犠牲者を弔う行事として行っている自治体も出てきています。

夜にゆらゆら揺れる明かりは日本の美を感じさせますが、実は灯篭流しはハワイでも行われています。

水に囲まれたハワイだからこそ、悼む対象が後を絶たないのかもしれませんね。

お盆に灯籠流しをする由来は

灯篭流しをする時期は、お盆。

なぜお盆の時期に行うのかというと、灯篭流しは「送り火」の一種に分類されているからです。

送り火とは、戻ってきた死者をあの世に送り出すこと。お盆の初めに「迎え火」でお迎えしたご先祖様を、「送り火」を焚くことで、お盆の終わりと共にあの世に送り出せるとされているのです。

ご先祖様たちは、送り火による煙をたよりに、迷わずにあの世へ戻れるといわれています。つまり送り火は、道しるべなのです。

そして灯篭流しは、その「送り火」のひとつ。

死者を弔い、感謝と共に、灯篭やお供えものと共に海(川)に流していくのです。

ちなみに灯篭流しのルーツは「施餓鬼(せがき)」という仏教行事だといわれています。

餓鬼というのは、悪行によって地獄に落とされた死者の魂のこと。

悪行への戒めとして、常に飢餓状態にされているそうです。

施餓鬼とは、そういった悪い魂に食べものや飲みものを提供する行事です。

宗派や地域によっても異なりますが、一般的にはお盆の時期に開催されます。

施餓鬼の内容も様々で、僧侶が故人の家庭をまわって「お施餓鬼」を行うこともあれば、お寺でトークイベントを明るく開催することもあります。

またお寺で料理を食べながら檀家同志でコミュニケーションを楽しむことも。

餓鬼を供養することで、現世に生きている人への徳となる、という言い伝えがあります。

悪行三昧の餓鬼でも、それを許すという寛大な心を身に付けることで、人間としての鍛錬にもなるかもしれませんね。

灯篭流しと精霊流しの違いとは?

灯篭流しは、お盆の終わりの「送り火」としての意味があります。

実は精霊流しも死者をあの世に送り出す行事なので、意味合い的には一緒。しかし「船を使うこと」と「地域が限定されていること」において、両者は分けられます。

精霊流しは、「精霊船(しょうろうぶね)」という船を使って行われます。

毎年8月15日に、初盆を迎えた故人のご家族が、精霊船に個人の霊を乗せ、「流し場」と呼ばれる場所まで運んでいく行事です。

精霊船と聞くとなんだか厳粛なイメージを持ってしまいますが、実際の精霊船はとても華やかなもの。

造花や提灯などで豪華に彩られ、爆竹と共に賑やかに出港していきます。あまりのお祭りムードに、たまたま見かけた観光客は、「なにかのお祭りかな?」と勘違いすることもあるようです。

しかし精霊流しは、開催される地域がとても限定されています。

さだまさしさんが精霊流しの曲をリリースしたので、精霊流しの存在は全国的に有名になりましたが、実際は一部の地域だけの行事。

佐賀県と長崎県でしか行われていません。

なぜ地域が限定されているからというと、大きな船が流せるような場所がなかなかないからといわれています。

手のひらサイズの灯篭を流せば完了・・・という灯篭流しとは違い、大きな船を人の手で押していく精霊流しができる地域は2つしかない、というわけです。

お盆と灯籠流し

お盆に行われる灯篭流し。

1万を超える明かりが水面にゆらゆら揺れる姿は、和の心と共に哀愁さえ感じさせます。

灯篭に書かれた、数々のメッセージ。工夫を凝らした、デザイン性のある灯篭。これからもその伝統は途絶えることなく、過去への感謝と供養として、次の世代へも受け継がれていくことでしょう。

日本は平和な国といわれています。

しかし平和の中にずっと身を置いていると、その環境が当たり前すぎて、平和の素晴らしさも忘れてしまいがちです。

灯篭流しには、ご先祖様への供養だけではなく、平和への祈りも込められています。灯篭流しをすることで、当たり前の日常に感謝しながら、次の世代もその次の世代もずっと平和であるように願いましょう。

では最後に、お盆の時期に行ける、有名な灯篭流しをご紹介します。

・長崎県の灯篭流し

長崎県で行われる灯篭流しは、8月15日に行われます。

実はこの日に行われるのは灯篭流しだけではなく、精霊流しも開催されます。

幻想的な行事を1日で2種類も見られるので、ぜひ連休の予定に加えてみてはいかがでしょうか。

ちなみに残念ながら、灯篭を実際に流して参加することはできません。灯篭流しも精霊流しも、観覧のみと考えておいてくださいね。

・東京都の灯篭流し

毎年日程は変わるものの、8月中旬に開催されるのが東京都の灯篭流しです。

墨田公園親水テラスから、祈りを込めて灯篭を流していきます。その場で灯篭を購入して、一緒に流すことができるので、夏の良い思い出になりますね。

またこの日は、墨田川灯篭流しクルーズというクルーズ船も出港します。海辺で楽しむのもよし、船からの眺めを楽しむもよし。

祈りを込めながら、幻想的な一夜をお過ごしください。

・広島県の灯篭流し

原爆ドーム前で行われるのが、広島県の灯篭流し。

こちらは原爆投下日である8月6日に行われるのでお盆の時期とは少しずれるのですが、有給休暇などで連休を取れば、こちらの灯篭流しに参加することもできるでしょう。

故人への供養という意味合いはもちろん、色濃いのが平和への祈り。かつて多くの犠牲者を出して戦争を経て、今の私たちがあります。

こちらもその場で灯篭が購入できるので、ぜひ平和への願いを書き込んで、火を灯したあとに川に流しましょう。

まとめ

故人への供養だけではなく、平和の象徴として受け継がれてきた「灯篭流し」。

慌ただしい毎日だからこそ、一度立ち止まって、故人への感謝と戦争犠牲者のことを悼む機会はとても重要です。

由来を知ったら、灯篭流しの意味をより深く噛みしめられるはず。

ぜひこの夏は、お一人で、ご家族で、灯篭流しをお盆の予定に組み込んでみてください。

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