お祝い事の際などによく食べられるちらし寿司。見た目も華やかで多くの人たちから喜ばれますよね。実はこのちらし寿司は昔から縁起物だったのですが、その事実は意外と知られていません。ちらし寿司が縁起物とされる由来や効果について調べましたのでご紹介しましょう。
もくじ
ちらし寿司にはどんな歴史がある?
多くの人たちが食べているちらし寿司。実は深い歴史があったのをご存知でしょうか。
意外と知られていないちらし寿司の歴史について調べましたので、ご紹介します。
ちらし寿司は本来は「ばら寿司」
私たちが「ちらし寿司」として知っているあのお寿司は、本来は「ばら寿司」と呼ばれていた食べ物です。
本来の「ちらし寿司」とは、ご飯にお酢を混ぜただけの酢飯のことを指していました。最初は今のような様々な具材は入っていなかったのです。
現在では、ちらし寿司のことをばら寿司と呼ぶことがありますが、もともとは全く別物だったのです。ちらし寿司はどちらかと言えば質素な食べ物で、豪華なのがばら寿司と考えると良いでしょう。
「ばら寿司」の原型とされる「どどめせ」
現在私たちがちらし寿司と思っている「ばら寿司」には、その原型とされる食べ物があります。それは「どどめせ」です。
「どどめせ」は岡山県の郷土料理で、ニンジンやキノコなどを入れて炊き込んだご飯に酢飯を混ぜ合わせた食べ物です。現在私たちが知っているちらし寿司と大変似ていますよね。
ちなみに「どどめせ」という言葉ですが、「どど」はどぶろくを、「めせ」はご飯を表しています。「どぶろく飯」が訛って「どどめせ」になりました。
この「どどめせ」が生まれたのには当時のお触れが背景にあると言われています。その当時の藩主池田光政は、大変な倹約家でぜいたくを嫌っていました。この考え方を浸透させようと「一汁一菜」という布告を発令します。しかし、食べ物くらいぜいたくに楽しみたいと思った庶民たちは、さまざまなおかずをご飯に混ぜることで「一汁一菜」のお触れを守ったと言われています。
海産物が入ったちらし寿司が生まれたのは江戸時代
ちらし寿司というとニンジンやシイタケが入ったもの以外に、海産物が入ったものもありますよね。この海産物が入ったちらし寿司が生まれたのは、江戸時代に入ってからのことです。「どどめせ」が生まれた後のことになります。
当時の寿司職人さんは毎日仕事に追われ、ゆっくり食事をすることができませんでした。自分の食事時間も無くなるくらい、江戸時代では当時お寿司が大人気だったのです。そこで、手軽に素早く食べられる食べ物として考案されたのが、海産物が入ったちらし寿司でした。
ちなみに「どどめせ」が原型となっているちらし寿司のことを「五目ちらし寿司」と呼ぶのに対して、海産物が入ったちらし寿司のことは、「江戸前ちらし寿司」と呼ばれています。
ちらし寿司が縁起物とされる理由は?
ちらし寿司が縁起物とされるのには、どのような理由があるのでしょうか。
その理由について調べましたので、ご紹介しましょう。
見た目が華やかだから
ちらし寿司が縁起物とされる理由の一つに、見た目が華やかだからということが挙げられます。
おめでたい席では食べ物も華やかにするという風習がありました。食べ物を華やかにすることでより喜びや幸せな気持ちが増し、幸福が訪れやすくなると考えられていたのです。
ちらし寿司は赤や黄色や緑や白といった色とりどりの見た目をしていますよね。このような見た目が華やかな食べ物は当時あまり多くなかったため、おめでたい席では必ず食べられていたのです。
おめでたい席で食べられることが多かったちらし寿司そのものにも、幸運を呼ぶ力があるとされ、縁起のいい食べ物と言われるようになりました。
大勢で食べるのに適していたから
ちらし寿司が縁起がいいとされる理由には、大勢で食べるのに適していたからという理由もあります。
おめでたい席では大勢の人たちが訪れて祝福をします。祝福してくれる人が多ければ多いほど、よりたくさんの幸運が訪れるとされていたのです。
また、幸福のおすそ分けをすることで更なる幸運が舞い込むという考えもありました。たくさんの人たちに幸福を分ければ分けるほど、自分自身により大きな幸運が訪れると考え田のですね。
大勢の人たちが訪れると、当然食事の用意も必要になります。ちらし寿司は一度にたくさん作ることができますから、どんなに大勢の人たちが来てもすべての人たちに食べてもらうことができます。
たくさんの人たちに食べ物をふるまうことで幸福を分けたことになり、その分幸運も訪れやすくなるというものです。ここから縁起がいいとされるようになったのです。
縁起のいい食材が使われているから
ちらし寿司には縁起がいいとされている食材が多く使われています。これが縁起がいいとされる理由にもなっています。
・海老・・・「海老のように腰が曲がるまで元気でいられる」ということから長寿の象徴
・レンコン・・・穴が開いていて向こうが見えることから、「見通しが良い」という縁起物
・豆・・・「まめに働くことができる」ことから、仕事や健康の象徴
このように、縁起がいい食材がたくさん使われているのです。これらを一度に食べることができるちらし寿司もまた、縁起がいい食べ物として認められるようになりました。
厄除けの意味もある
ちらし寿司には、実は厄除けの意味もあります。
ちらし寿司には海老やイクラなどのような赤いものが食材として使われます。赤い色が入っていると見た目が一気に華やかになりますよね。ですが、実はこの「赤」は決して見た目を華やかにする為だけのものではないのです。
もともと「赤」には厄除けの意味がありました。悪いものは赤い色を嫌うとされていたのです。
ちらし寿司の具材の中でもひときわ目を引く赤い海老やイクラは厄除けの意味が込められているため、ちらし寿司そのものは縁起がいいとされているという説もあります。
縁起物のちらし寿司の効果とは?
縁起物として親しまれているちらし寿司には、どのような効果があるのでしょうか。
ちらし寿司に込められた縁起のいい効果についてご紹介しましょう。
健康で長生きできる
ちらし寿司には健康で長生きできるという縁起のいい効果があります。
ちらし寿司の食材として用いられている海老には、長寿の象徴という意味が込められています。その海老の効果がちらし寿司にもあると考えられているのです。
また、ちらし寿司の具材はどれも海の幸や山の幸がたくさん使われています。これらは大地や海からの恵みやエネルギーがたくさん含まれているため、食べるとより健康になるとされているのです。
困難やトラブル回避
ちらし寿司には困難やトラブル回避といった嬉しい縁起物の効果も期待できます。
それはちらし寿司に厄除けの効果があると考えられているからです。ちらし寿司を食べることで、自分自身や体内にある悪いものを浄化し、幸運を引き寄せる力を強めてくれるとされています。
嫌なことが続くなと感じたら、ちらし寿司を食べてみるのも良いかもしれません。悪いものが祓われて、明るい光が差し込んでくるかもしれませんよ。
まとめ
ちらし寿司は見た目が華やかなので、めでたい席で食べられることが多い食べ物です。それは今も昔も変わりありません。
ですが、ちらし寿司には見た目が華やかであるだけではなく、縁起がいいという意味も込められていることがわかりました。
笑顔で楽しく食べることで、ちらし寿司にある縁起のいい効果はさらに大きくなります。ぜひ、ニコニコ笑顔でおいしく食べてくださいね。