神社の入り口に安置されている狛犬は、縁起物として大変有名です。でもどうして狛犬は縁起物とされているのでしょう。また、そもそも狛犬とはどういう生き物なのでしょうか。狛犬の由来や正体はもちろん、コロナウイルス退散にも役立つ狛犬の置き方もご紹介します。
もくじ
狛犬とは?
神社に必ず安置されている狛犬。そもそも狛犬とはどういう役割を担っているのでしょうか?そして、狛犬と呼ばれていますが、本当に犬なのでしょうか?
縁起物の狛犬について解説する前に、まずは狛犬そのものについてご紹介します。
狛犬は神域を守る霊獣
神社の入り口に必ず安置されている狛犬。入り口を示す鳥居の両脇や、ご本尊が安置されている本堂の両脇に、狛犬が多く見られます。これは、狛犬が神域を守る霊獣とされているからです。
神様が存在する神域はとても神聖な場所です。そのため、通常なら悪いものは近づくことができません。ですが、大変力を持った悪いものは神様の力が及ぶところにも平気で入り込み、中を荒らすことができると考えられていました。そのようなことがないようにするために門番の役割を担っているのが狛犬です。人間にとっての番犬のような役目を狛犬は担っているのです。
狛犬のルーツはライオンとも言われている
狛犬は「犬」という文字が入っている通り、多くの人たちは狛犬そのものは犬だと思っているかもしれません。ですが、その姿かたちをじっくり観察してみてください。見た目が明確に犬に似ているとは思えない人もいるでしょう。狛犬には「犬」という漢字が入っていますが、ルーツは犬ではありません。
その昔、インドにはインドライオンが生息していました。古くからライオンは農作物を食べてしまう草食獣を退治したり追い払ったりしてくれる神聖な生き物と考えられていました。この考え方はインドにも伝わり、インドライオンは守り神として大切にされてきたという歴史があります。
この風習や考えは日本にも仏教などが伝来したと同時に渡ってきました。農作物を守る守り神なら、神域も守ってくれるだろうと考え、狛犬として神社に安置されるようになったのだそうです。
昔は狛犬は1体だけだった
現在、神社に安置されている狛犬は2体で一対とされ、鳥居や本殿の両脇に1体ずつ安置されています。ですが、日本に狛犬が広まった当初は1体だけでした。
狛犬のような霊獣が神域を守る霊獣として安置されるようになったのは、飛鳥時代までさかのぼります。その当時はライオンがルーツとなっている獅子だけが安置されていました。
やがて平安時代に入り、インドから釈迦像が伝わります。この時、釈迦像の足元には2体の獅子が安置されていました。これを見た日本人は発想を得て、獅子と対になる狛犬を考え出したのだそうです。
狛犬が縁起物とされている理由
狛犬が縁起物とされているのはどうしてなのでしょうか?そこには狛犬にまつわる昔からの言い伝えや見た目などが関係していました。
狛犬が縁起物とされる理由について、いくつか説がありますのでご紹介しましょう。
昔は狛犬に触れることでご利益があった
狛犬は、昔から神域を守る霊獣として大切にされてきました。中には、狛犬そのものを信仰する人たちも多かったようです。
そのような人たちの間では、狛犬にお供え物をし、自分の身体が痛んだり不調を感じたりするところを伝えると、その部分が回復すると言われていました。中には、痛みが感じる部分と同じ場所をなでると痛みが取り除かれる、という噂もあったようです。
神域を守る霊獣である狛犬自体にも強い力があると考えられ、このような信仰が広まったとされています。強い力を持った狛犬を信仰することでご利益があるとされ、縁起物と考える人が増えていったようです。
狛犬が凶相だから
神社に安置されている狛犬をよく観察してみてください。とても怖い顔をしています。この凶相が、魔を払うと考えられるようになりました。
この発想は毘沙門天のような凶相が特徴の神様から生まれています。天邪鬼を踏んづけていることで有名な毘沙門天はとても怖い顔をしています。怖い顔をすることで、悪いものを追い払っているのです。
神社に安置されている狛犬も凶相をしています。このことから、毘沙門天のような神様と同じように、悪いものを追い払ってくれると考えられ、縁起物として親しまれるようになりました。
風水で獅子は縁起が良いとされているから
獅子は風水では、強い魔除けの効果があるとされ、縁起物として大変重宝されています。風水に従事している人たちの多くは、自宅や職場に獅子の置き物を置いています。獅子の置き物を置くことで、悪いものを退ける結界のようなものを張っているのです。
狛犬も「犬」という漢字が入っていますが、ルーツをたどれば獅子です。そのため、狛犬も獅子同様に強い魔除けの効果があるとされ、風水でも縁起物とされているのです。
病に対して縁起がいい狛犬の置き方
コロナウイルス対策の一環として、狛犬の置き物が人気を集めています。同じ厄除け退散をするのなら、確実な方法で狛犬を活用したいですよね。
そこで、疫病退散としての効果が高まる縁起物の狛犬の置き方についてご紹介しましょう。
玄関や窓辺に置く
神社の狛犬は、鳥居や本殿の両脇に安置されています。これは、悪いものが入ってこないようにするためです。
自宅に狛犬の置き物を置く場合にも、神社に安置する場合と同じような方法を取った方が効果があるとされています。悪いものは外から入り込んできますから、結界を張って退けるのです。
そこで、玄関や窓辺に狛犬を置くと良いでしょう。人間は玄関から出入りします。この時、一緒に悪いものも入ってきてしまうのです。玄関に狛犬の置き物があると、入って来ようとする悪いものを退けてくれます。
また、悪いものは玄関だけではありません。窓から侵入してくることもあります。そのため、窓辺に狛犬を置いておくと、家全体を悪いものから守ってくれます。悪いものの中には疫病も含まれますから、コロナウイルスなどのような悪い病気も祓ってくれるでしょう。
寝室の入り口または枕元
病などのような疫病は、人間が眠っている間に身体の中に侵入してくるという考え方があります。人間は眠っている時、とても無謀になるため、悪いものが入り込みやすいとされているのです。
寝室の入り口や枕元に狛犬の置き物を置いておくと、眠っている間も守ってくれます。侵入しようとする病も撃退してくれますから、安心して眠ることができるでしょう。
2個以上置く
お店で狛犬の置き物を購入する時、2つで1対になっているものもあれば、1つだけのものもあります。昔は狛犬は1体だけでしたが、現在は2体で1対と考えられています。また、1体よりも2体の方がより強力な力があるという考え方もあります。
そのため、狛犬の置き物を購入する際には、2個以上で購入すると良いでしょう。偶数で購入し、2つで1対として玄関や窓辺、寝室などに置きましょう。
まとめ
狛犬は飛鳥時代から神域を守る霊獣として日本で大切にされてきました。その考え方は現在も続いています。狛犬を神様として信仰する人たちもいるくらいですから、その力やご利益がとても強いこともわかるでしょう。
コロナウイルスの影響から、狛犬の置き物もたくさん市場に出回るようになっています。これを機会に購入して、お部屋に飾ってみてはいかがでしょうか。疫病退散だけではなく、その他のご利益もいただけるかもしれませんよ。