正月料理など祝いの席によく出る、赤く硬い殻と長い触覚が立派な「伊勢海老」。 美味しいですよね。実は厄除けや健康長寿、必勝祈願を担いでいる、縁起の良いおめでたい食べ物なんです。そんな伊勢海老について調べてみました。
もくじ
伊勢海老の語源。
伊勢地方の海で多くとれたことからこの名がある。
エビは腰を曲げた姿を老人に見立てて「海老」と書き、その海老の代表格である伊勢海老は古くから長寿・延命の願いを込め、鯛と並んで祝い事には欠かせないものになっている。
また「いせ」の名が付いた由来には「威勢(いせい)がいい海老」が縮まって「いせ海老」と呼ばれるようになったという説もあります。
「伊勢海老」「ロブスター」はどう違うの。
●ロブスターとは、エビ目・ザリガニ下目・アカザエビ科(ネフロプス科)・ロブスター属に分類される甲殻類2種類を指す。一方の伊勢海老はビ目・イセエビ下目・イセエビ科に属するエビの一種。
●ロブスターの食感は弾力がつよくプリップリ、一方伊勢海老はロブスターと比べると食感は柔らかめです。調理方法はどちらも似ており、ボイルはもちろん、スチームやローストなど幅広く活用されます。
●伊勢海老(イセエビ)について
体系は太い円筒形に近く、全身が赤褐色でトゲのついた硬い殻に覆われている。 2対の触覚が特徴だが、太くこれらの触覚も硬い殻に覆われている。日本の房総半島から台湾に至る太平洋沿岸地域、朝鮮半島南部の沿岸地域、インド洋の熱帯地域、大西洋諸島・西部、オーストラリア西部、ニュージーランド周辺海域に生息している。体長は大きいものでも40cmは超えるものは、まれで、30cmが一般的。高級食材として重宝されている。古くから日本人に親しまれている、こちらも高級食材である。
●ロブスターについて。
ロブスターという呼称は英語の「lobster」に由来するが、フランス語では「homard(=オマール)」と言うことから、食材としてしばしば「オマール」「オマール海老」とも呼ばれる。前脚の1対が大変大きなハサミとなっているのが特徴で、フランス語の「オマール」は、ハンマーの意で大きなハサミがハンマーのように見えることから、このように呼ばれるようになった。
体長は50cmほどにもなり、非常にどう猛な性格で、仲間同士で傷つけあうこともあるため、水揚げされたロブスターは、すぐにハサミを固定される。
大きな違いは体長(伊勢海老は30㎝が一般的。ロブスターは約50㎝)と、
ロブスターの前脚の1対が大きなハサミになっている点でしょうか。また、食感もロブスターの「プリップリ」に対して、伊勢海老はロブスターと比較して柔らかめです。
伊勢海老が縁起の良い食べ物なのはなぜか。
●戦勝の縁起物 《必勝祈願 》
伊勢海老の堅い殻を武勇を象徴する甲冑に例えます。●長寿の縁起物 《健康長寿》
また、背の曲がった姿を長寿の象徴とみなし、祝膳や正月料理には人気の食材となります。
縁起の良い〚伊勢海老〛を使った代表的な料理は?
赤くて硬い甲冑を連想させるような殻と、長くてピンと張った触覚が”勢い”を感じさせ、
まさに縁起の良くおめでたい食材です。
伊勢海老を使った料理 「具足煮」&「具足焼き」 とは。
●具足焼き(ぐそくやき)
伊勢えびや車えびを殻つきのまま背開きにし、たれをつけながら焼いた料理。◇「鎧(よろい) 焼き」「鬼殻焼き」ともいう。
●具足煮(ぐそくに)
伊勢えび・車えび・かになどを、殻つきのまま大まかに切って煮た料理。◇「具足」は「甲冑(かっちゅう)」の意で、殻を甲冑に見立ててこの名がある。
●具足煮
具足とは戦国武者の「鎧」を意味します。
その鎧を連想させる伊勢エビやカニや車エビの料理が具足〇〇。殻付き(頭付き)でないと甲冑らしくありませんので、姿のままの海老や蟹を二つ割りにして煮ます。はじめ水・酒で煮て、醤油を加えるだけのシンプルな料理。
出汁は材料から出ますので使いません。
もちろん煮汁は旨いだしが出て美味しく飲めます。
「戦勝の縁起物」とされたのですね。ところで、伊勢海老の「具足煮」&「具足焼き」には調理上の原則があるそうです。 その原則とは?
伊勢海老の「具足煮」「具足焼き」の原則とは?
伊勢海老は縁起物のため、その価格は身質よりも、姿・色・大きさで決まると言われています。
ひげの1本に至るまで、欠けていては商品価値が落ちるのです。「円満具足」という言葉が伊勢海老にはよく似合います。 伊勢海老を使った料理名に 具足煮や具足焼きがありますが、足の1本に至るまで欠けていないことが原則となります。
次回お祝いの席などで伊勢海老のお料理をいただくときに子供が一緒なら、
「おめでたい気持ち」を共有できるよう、伊勢海老の「縁起」について話して聞かせるのもいいですね。