コロナウイルスの影響で、疫病退散のご利益がある妖怪が注目を集めています。その中でも今回はヨゲンノトリについてご紹介。ヨゲンノトリという名前を初めて聞いた人もいるかもしれません。その始まりや由来、効果について解説しますので、参考にしてください。
もくじ
ヨゲンノトリとは?
ヨゲンノトリという妖怪を知っていますか?コロナウイルスの影響で、一部のメディアなどで取り上げられるようになった疫病退散の妖怪です。どんな妖怪なのか、気になるという人も多いでしょう。
そこで、ヨゲンノトリの始まりや由来などについてご紹介します。
発祥は現在の石川県
ヨゲンノトリという妖怪が初めて発見されたのは、現在の石川県だったようです。ただ、ヨゲンノトリが記された資料そのものは山梨県にあります。山梨県立博物館に、保存されている資料をTwitterにて紹介したところ、一気に脚光を浴びて有名になりました。
実は山梨県ではこのヨゲンノトリが描かれた資料を今まで何度か展示したことがありました。ですが、当時はあまり注目されることがなく、見た目が変わった不思議な鳥くらいにしか思われていなかったようです。
それが、コロナウイルスの影響で一気に注目を集めることになります。Twitterで紹介したというのも注目を集める大きな要因の一つになったようです。展示するよりもTwitterの方が多くの人たちの目に留まりますし、特に若い人の間で噂が拡散したのです。
「暴瀉病流行日記」にヨゲンノトリが登場
ヨゲンノトリは「暴瀉病流行日記(ぼうしゃびょうりゅうこうにっき)」という1858年に書かれた記録に登場します。執筆者は現在の山梨県に住む喜左衛門という男性です。この日記にはヨゲンノトリについて以下のように記されています。
昨年の12月に石川県の白山に、絵のような鳥が現れて奇妙な予言をした。「来年の8~9月頃に世の中の人間の9割が死んでしまうような災難が降りかかる。私の姿を朝と夕に仰ぎ、信心すれば必ずその災難から逃れることができるだろう」
この日記に描かれている鳥は身体は真っ黒でまるでカラスのよう。しかし頭が二つあり、一つは真っ黒で、もう一つは真っ白という不思議な姿をしています。
また、ヨゲンノトリは一部では妖怪と言われていますが、この暴瀉病流行日記ではこの鳥のことを「熊野七社大権現」と記しています。熊野権現とは、熊野本宮大社、熊野速玉大社、熊野那智大社の3つの神社に祀られている神様のことです。ヨゲンノトリはこの神様の仮の姿だとこの日記では記されています。妖怪ではなく、神様だと言っているのです。
ヨゲンノトリが厄病退散とされている理由
ヨゲンノトリが疫病退散とされているのはどうしてなのでしょうか?ヨゲンノトリについての記述や記録はあまり多くありません。ですが、調べてみましたのでご紹介しましょう。
江戸時代にコレラを予言したから
ヨゲンノトリが疫病退散とされている理由の一つが、江戸時代のコレラを予言したからとされています。
ヨゲンノトリの記述がある「暴瀉病流行日記」。この「暴瀉病(ぼうしゃびょう)」とは、現在のこれらのことを指しています。昔は「コレラ」とは言わず、「暴瀉病」という言い方をしていたのです。
「暴瀉病流行日記」に登場するヨゲンノトリは、「来年8~9月に、世の中の人間の9割が死んでしまう災難が起こる」と予言しています。実はこの予言があった翌年の8~9月、長崎にこれらが上陸し、瞬く間に日本全土に広がっていきます。もっとも猛威を振るった時期には1日に30~40人もの人たちが亡くなったのだそうです。
「暴瀉病流行日記」の執筆者である喜左衛門はヨゲンノトリの予言を思い出し、藁にもすがる思いで昼夜問わず念仏を行ないました。その甲斐あってか9月に入って収束していったそうです。
ヨゲンノトリが予言した「来年8~9月」「世の中の人間の9割が死んでしまう」などの点が、実際に起こったこととぴったり一致しています。また、念仏を唱えるようになってからこれらは終息し始めたとのこと。これらの点から、ヨゲンノトリは疫病退散のご利益があるとされるようになりました。
「暴瀉病流行日記」以外にヨゲンノトリが登場しないから
実は、ヨゲンノトリは「暴瀉病流行日記」にしか登場しません。江戸時代に猛威を振るったとされるコレラについての記録は、他の資料にもたくさん残っています。ですが、ヨゲンノトリに関する記述については、他の資料には一切登場していません。
江戸時代と言えば、現在のようにまだ医学が発展していない頃です。人の力を超える病が蔓延したとあれば、当時の人たちは神頼みをしたでしょう。現に江戸時代にこれらが蔓延した時、日本中で昼夜を問わず多くの人たちが念仏を唱え続けたと言われています。
更に、ヨゲンノトリの予言は実際に起こったこととぴったり一致しています。ですが、特に重要とされる時期についてはヨゲンノトリが予言した時期と実際にこれらが蔓延した時期が合致しているという点があります。
このような点から考えても、本来ならヨゲンノトリについての噂や記録が日本中に広まっても良いはずです。ですが、実際には「暴瀉病流行日記」にしか登場していません。
実はこれと同時期に妖怪アマビエなどのような予言妖怪が全国各地に登場しています。ですが、これら予言妖怪と呼ばれている存在は日本全国各地に広がることがなく、ごく一部の地域でのみ知られ、記録もほとんど残っていないという共通点があります。ですが、このような予言妖怪は的確に疫病を予言し、信仰することでその終息のご利益があったとも言われています。
ヨゲンノトリも山梨県という一部の地域でしか信じられていなかった、そして記録が「暴瀉病流行日記」にしかないという点が共通しています。他の疫病に関する予言妖怪との共通点も多いことから、ヨゲンノトリも疫病退散のご利益があると信じられるようになったのです。
ヨゲンノトリのご利益を受ける方法
コロナウイルスの影響で、妖怪にもすがりたいという人が増えてきています。ヨゲンノトリもそんな予言妖怪の一つです。本当にご利益があるのなら、その力でコロナウイルスを祓って欲しいですよね。
そこで、ヨゲンノトリのご利益を受ける方法をご紹介します。是非、試してみてくださいね。
ヨゲンノトリの画像を人が集まる部屋に飾る
ヨゲンノトリのご利益を受ける一番良い方法は、ヨゲンノトリの画像を人が多く集まる部屋に飾ることです。ヨゲンノトリは、できるだけ多くの人たちを病から守ろうと姿を現してくれた妖怪です。そのため、多くの人たちの目に触れた方がそのご利益が大きくなると考えられています。
リビングやダイニングなど、多くの人たちが集まる部屋にヨゲンノトリを飾りましょう。また、できるだけ目立つように飾ることも大切です。多くの視線が集まるような形で飾ることで、そのご利益を頂くことができるでしょう。
ヨゲンノトリの画像を寝室の扉に張っておく
ヨゲンノトリの画像を寝室の扉に張っておくというのも、良いでしょう。何故なら、ヨゲンノトリは予言の中で「朝と夕に拝むように」と伝えています。
寝室に張っておくと、朝目が覚めた時にもヨゲンノトリの絵が目に入ります。また、夜寝る前にもヨゲンノトリの絵が目に入ります。この時、お祈りではなく簡単な挨拶をする程度でも充分です。必ず、一声声をかけるようにすると、ご利益が頂けます。
まとめ
ヨゲンノトリについて解説してきました。一部の神社仏閣では、コロナウイルス退散として、ヨゲンノトリの御朱印を授与しているところもあります。ホームページやTwitter、インスタグラムなどで紹介されていますから、一度「ヨゲンノトリ 御朱印」などで検索してみて下さい。