あなたには、叶えたい願いはありますか?
七夕は、その願いを叶えるための、1年に1度きりのチャンス。
でも、「短冊に願いごとを書いて笹につるす」ことは有名ですが、七夕の「食」についてはあまり知られていません。
今回は、七夕の行事食について、そのルーツと共にご紹介していきます。「短冊」と「食」の相乗効果で、願いが実現する可能性をアップさせましょう!
もくじ
七夕の行事食といえば、「そうめん」
実は七夕の行事食は、「そうめん」。
もしかしたら七夕の日に、給食で「七夕そうめん」が提供されている学校もあるかもしれませんね。
なぜ、七夕の行事食が「そうめん」なのか?
その由来は、平安時代にまでさかのぼります。平安時代に中国から伝わった「索餅(さくへい)」が、現在のそうめんのルーツ。
索餅とは、小麦粉を練ってねじった、縄のような形のお菓子です。この索餅、古代中国において亡くなった帝の子どもが好きだったもの。かつて中国で熱病が流行したとき、「他界したあの子が鬼となって熱病を流行らせたのだ」といわれ、好物だった索餅をお供えして、祟りを鎮めたそうです。
その後日本にも索餅が伝わり、一般に広まると共に、やがて現在のそうめんへと形を変えていきました。
「そうめん」を食べる3つの理由
古代中国において、子どもの祟りを鎮めるために「索餅」を供えたことをお伝えしました。
しかし、7月7日にそうめんを食べる理由は、単に祟りの沈静化のためだけではありません。
他にも以下の3つの理由があると言われています。
・無病息災を願う
・七夕物語から由来
・秋の収穫祈願
それでは、次の章で理由について詳しく見ていきます。
無病息災を願う
古代中国では、「索餅」によって祟りが収まったことから、索餅、つまり今のそうめんは「邪気を追い払うもの」と考えられるようになりました。
そのときに「索餅には病を遠ざける効果がある」と広く知られるようになり、そこから無病息災を願う食べものとしての意味を持つようになりました。
「7月7日に索餅を食べると1年間病気とは無縁になる」と信じられ、宮中行事のみに留まらず、一般家庭にも広まり広く親しまれるようになったのです。
七夕物語から由来
7月7日といえば誰もが思い浮かべるのが、七夕物語。
織姫と彦星のエピソードは、とても有名ですよね。
1年に1度しか会えないふたりの純愛は、ロマンティックの代名詞ともいえます。
実は7月7日にそうめんを食べる理由は、七夕物語にも深く関係しています。
そうめんを白い糸に見立てて
まるで絹のように繊細な、そうめん。白い糸のようなそうめんを食べることで、織物の上達を願うという意味があります。
現代の日本では「織物」という言葉はあまり馴染みがないかもしれませんが、七夕物語の織姫や彦星が着ているのは、着物。この着物を織りなす織り糸として、縫製技術の上達を願って食されるようになったいわれています。
中国では、織姫は巧みな織り手として知られていました。
そこで生まれたのが、「乞巧奠(きこうでん)」という祭りの日。
年に1度、織姫と彦星が会えることを祝福し、織姫の機織りがますます「巧み」になるように「乞う」と共に、ふたりの愛を「奠る(まつる)」のです。
後に、機織り技術だけではなく、裁縫などの手芸、芸や音楽などの芸術関連全般など、祭る対象がどんどん広くなっていきました。
日本に「乞巧奠」が伝承されたのは、奈良時代。織姫と彦星の七夕物語と共に「乞巧奠」が伝えられ、次第に「星祭り」の儀式など日本古来の行事と一緒になって、「七夕」として広まったといわれています。
では、「七夕」という名はどこから来たのでしょうか。
それは、機織りに関係しています。
機織りをする女性のことを「棚機女(たなばたつめ)」と呼んだことから、その名称が定着していったようです。
そうめんを天の川に見立てて
織姫と彦星の逢瀬の場所、天の川。
そうめんを天の川に見立てて、小口切りにしたオクラや短冊形に切ったにんじんを添えれば、簡単に「七夕そうめん」の完成です。細くしなやかなそうめんは、まるで天の川が目の前に浮かんでいるよう。
そうめんは、このように七夕物語を具現化した食材として、今も昔も広く親しまれているのです。
また、料理の便利さも人気の秘密。手間いらずにサッと作れる便利さが、七夕そうめんが一般家庭に普及している大きな理由の一つなのかもしれません。
見た目も繊細なので、見ているだけで涼しさを感じますね。まさにそうめんは、夏の風物詩といえるでしょう。また冷たいツユと共に食べるので、体を冷やす効果もあり、熱中症対策にも最適。見た目と効果、その両方が揃ったそうめんは、時代を超えてこれからも私たちの家庭で広く親しまれていくことでしょう。
秋の収穫祈願
また、七夕にそうめんを食べることには、収穫祈願の意味合いもあります。
七夕と聞くと夏のイメージがあるかもしれませんが、実は旧暦において「7月」は秋。小麦の収穫の季節です。
7月7日にそうめんを食べることで、神様に「小麦がたくさん実りますように」という願いを伝えているのです。
なぜならそうめんの原料は、小麦。
それを7月7日神様にお供えすることで、小麦の収穫を神様に報告すると同時に、「小麦をたくさん実らせてくださりありがとうございます」という感謝の念を伝える意味もあります。
現在の日本では、小麦は特に珍しいものではないかもしれません。しかし当時、小麦はかなり貴重な食糧。「神様にお供えするほどにたくさん実りました」と報告する共に、実りへの感謝をお伝えしていたんですね。
5色の色付き「そうめん」ならさらに縁起が良い
「そうめん」と聞いて一般的にイメージするのは、純白のそうめんではないでしょうか。
実はそうめんの色に、特に決まりはありません。5色に色づいた「色付きそうめん」も多く流通しているんですよ。本来は「赤・青・黄・白・黒」ですが、最近ではいずれか1色だけを使われることもあります。
しかし5色のそうめんは、見た目が綺麗なだけでなく、縁起ものとしての意味も。
5つの色は、中国の陰陽五行説の「5」が由来です。5色そろえて食べると厄除けの意味があるので、昔はお供えするそうめんも5色でした。
願望成就効果と、厄除け。その2つを両立してくれるのが、5色そうめんというわけです。
7月7日はそうめんの日でもある
「7月7日は何の日?」と聞くと、ほとんどの方が「七夕!」と答えることでしょう。
しかし実は、「7月7日はそうめんの日」と定められているのはご存知でしたか?
昭和57年に全国乾麺協同組合連合会が規定したもので、7月7日の行事食としてそうめんを広く流通させることが目的といわれています。
7月7日といえば、「七夕」と「そうめん」だと、誰もが同時に思い浮かべられたら良いですね。
まとめ
そうめんのルーツや、行事食として親しまれるようになった理由をお伝えしてきましたが、いかがでしたか。
この夏は、短冊を飾ると共に、5色のそうめんも楽しんでください。
短冊とそうめんの相乗効果で、きっとあなたの願いは叶いやすくなることでしょう。
1年に1度のすてきな日、あなたはどんな願いごとをしますか? 古代中国からのルーツをたどる、そうめん。長い歴史を知ると、余計に味わい深くなりますね!