鶴はその姿の優美さから、日本古来の民話や音楽、絵画などに登場し、私たち日本人の心に住む美しい鳥です。また長寿や繁栄のシンボルであり、縁起のいい鳥と言われています。そんな鶴について調べてみました。ことわざも載せています。
もくじ
「鶴亀」は長寿と繁栄のシンボルで縁起がいい。
日本には「鶴は千年、 亀は万年」ということわざがあり、鶴とともに亀は長寿の動物としてめでたいものとされています。 古代中国と朝鮮が鶴と亀を長寿と繁栄の象徴としたのが日本に伝わり、今では日本人の生活に深く根差したものとなっています。
琴や能などの日本の伝統芸能には、「鶴亀」という作品があり、これを祝辞の代わりに演じることもあります。
古くは「たず」と呼ばれ、平安時代以降に「鶴」と呼ばれるようになったようです。
古来より「鶴は千年」といわれ「長寿を象徴する吉祥の鳥」として、
また夫婦仲が大変良く一生を連れ添うことから「夫婦鶴=めおとづる」といわれて
「仲良きことの象徴」の鳥として、鳴き声が共鳴して遠方まで届くことから
「天に届く=天上界に通ずる鳥」といわれるなど、
民衆の間に「めでたい鳥」として尊ばれてきました。
おめでたく縁起が良い、鶴を表すことわざ。
●鶴は千年亀は万年(つるはせんねん かめはまんねん)
鶴は千年、亀は万年を生きるという、中国の古い言い伝えから、生まれたことばのようで、 実際、鶴も亀も、長生きする為、縁起のいいものとされていたようです。 命が長く、長生きをしたことを祝ったり、いいこと(吉)が起きるように、祝ったり、祈ったり する時に使われた言葉のようです。昔としては、とても縁起のいい言葉だったのでしょう。
●鶏群の一鶴(けいぐんのいっかく)
鶏群の一鶴とは、多くの凡人の中に、一人だけ抜きん出てすぐれた人がまじっていることのたとえ。
●鶴九皐(きゅうこう)に鳴き、声天に聞ゆ
深い谷底で鳴いても,鶴の声は天に聞こえる。 賢人は身を隠しても,その名声は広く世間に知れ渡るというたとえ。
●鶴の一声
小さな鳥が群がって鳴くより、鶴が一声鳴く方が、威厳があり、優れている。大勢で議論してまとまらなかったことが、実力者の一言で決まることのたとえ。
野鶴、閑雲野鶴、雲外の鶴、掃溜めに鶴など優れた人を表すものや、良いイメージを表すものが多いです。
さまざまな作品に登場する鶴。
ツルの音楽
江戸時代には、鶴の鳴き声を模した音型をモティーフとして、さまざまな楽曲が生まれた。●能 『鶴亀』
● 尺八本曲 『鶴の巣籠』(尺八各流派に同名異曲が多数伝承されている)
● 尺八本曲 『巣鶴鈴慕』
● 胡弓本曲 『鶴の巣籠』(胡弓四流派にそれぞれ同名異曲が伝承されている)
● 地歌・箏曲 『鶴の声』
● 地歌・箏曲 『鶴の巣籠』(久幾勾当作曲)
● 箏曲 『新巣籠』(楯山登作曲)
● 長唄 『鶴亀』(十代目杵屋六左衛門作曲)
● オペラ 『夕鶴』(團伊玖磨作曲)
日本の民話
●鶴の恩返し
鶴の恩返しは、助けた鶴がその恩を返すためにやってくるという話です。「おじいさんとおばあさんの娘になる」という話から、「青年の嫁になる」「青年の嫁になり、子どもを授かる」といった話まで様々です。新潟や山形などの北国が発祥と考えられていますが、全国に似たような話が点在しているようです。人間の心理を表した民話
鶴の恩返しは一般に「何か良いことをすると必ず別の良いことが自分にかえってくるよ」という教訓を交えた話であると考えられがちです。 しかし実際は、動物を助ける優しさを持ちながらもたった1つの約束(「決してのぞいてはいけない」という約束)さえ守れない愚かさを合わせ持った人間の、複雑な心理を表しているという説もあります。
折り鶴、千羽鶴は病気の回復や長寿を願って贈られる。
せんば‐づる【千羽鶴】
折り鶴を数多く糸に通して連ねたもの。瑞鳥の鶴が千羽そろうのを吉として、社寺に奉納する風習があり、現在では慰安や病気見舞いなどに人に贈ることも多い。
お見舞いに持って行く千羽鶴の意味
千羽鶴といわれるとどうしても1000羽すべてを折らなくてはならない気がしますが、
そういうわけでもなく、700羽でも千羽鶴として飾られるときがあります。主にこの場合は、病院にお見舞いの品として使うことが多く、
その理由は「治る」を首にかけているからだといいます。もし、病院に千羽鶴を作っていく場合には、1000羽の千羽鶴よりも
700羽の千羽鶴の方が、ご利益があるかもしれません。千羽鶴のお見舞いの礼儀と意味合い『お見舞いに花や植物を贈ってはいけない。特に、菊や百合は駄目』という風に、お見舞いなどには、日本ならではの多くの縁起の問題があります。
もちろん、千羽鶴にもやっていいことと、やってはいけないことがあります。 普段ならば特に問題のないことも駄目だったりしますので、一度目を通してください。
私も昔折り紙が大好きで、よく折って遊んでいました。
集めた色とりどりの折り紙や千代紙を四つに切って、 鶴を折り終わったら、
最後に頭にあたる部分を織り込んで、息をフーっと吹き込んで少し膨らませたら鶴が完成。立ち姿の鶴をしばらく眺めたら、今度は鶴を指で少し抑えて空気を抜き、箱の中にしまっていました。
小さな折り鶴がたくさん入った宝箱のような箱の中を飽きずに眺めて遊んでいたものです。
江戸時代に、江戸幕府が鶴の保護を呼びかけ、
それに応じて薩摩藩が鶴の保護を領民に命じた記録があるようです。そんな鶴をこれからも大切にしていきたいですね。