大阪で有名な愛染堂勝鬘院とはどんなところ?歴史や仏尊についてご紹介!

 
水面に広がる水紋

大阪で大変有名な愛染堂勝鬘院。連日多くの参拝者で賑わっています。それは愛染堂勝鬘院をお参りすると、さまざまなご利益が頂けると言われているからです。そんな愛染堂勝鬘院にはどのような歴史や仏尊があるのでしょうか?詳しく調べましたので、ご紹介します。

もくじ

愛染堂勝鬘院の歴史とは?

水面に広がる水紋

愛染堂勝鬘院にはどのような歴史があるのでしょうか。そこには、意外な事実が隠されていました。

まずは、愛染堂勝鬘院にまつわる歴史について紐解いていきましょう。

日本最初の福祉施設として建立された場所

愛染堂勝鬘院は、現在はお寺として多くの参拝者でにぎわっています。「愛染堂勝鬘院はどのような場所ですか?」と質問されたら、多くの人たちは「お寺です」と答えるでしょう。ですが、ここは初めからお寺として建立されたのではありません。

愛染堂勝鬘院は、もともとは福祉施設として建立された場所でした。建立されたのは推古天皇が納めていた西暦593年。建立したのは聖徳太子で、名前も「愛染堂勝鬘院」ではなく「施薬院(せやくいん)」と呼ばれていました。

「施薬院(せやくいん)」とは、その名前に「薬」の文字が入っている通り、あらゆる薬草を植え、管理していた場所です。その薬草を用いて、病に伏している人を助けていたのが、この施設でした。また、多くの薬草や薬の保管場所としても活躍していたと歴史書には記録が残っています。

勝鬘院(しょうまんいん)と呼ばれるようになったきっかけ

それでは、何故「施薬院(せやくいん)」が「勝鬘院(しょうまんいん)」と呼ばれるようになったのでしょうか?そこには聖徳太子が深くかかわっています。

実は、聖徳太子はこの施薬院で勝鬘経というお経を唱えていました。勝鬘経とは仏教の一つで、女性でも悟りを開くことができるとされているお経です。当時の仏教では、女性はどれだけ熱心に祈願しても悟りを開くことができないとされていました。それを可能にしたのが勝鬘経です。聖徳太子は、すべての人たちが悟りを開くことができるようにという願いを込めて、施薬院で勝鬘経を唱えていたと言われています。

また、勝鬘経の中には一人のお姫様が登場します。このお姫様は勝鬘経を作って広めた女性で、名前を「シュリーマーラー夫人(勝鬘夫人)」と言います。聖徳太子は、勝鬘夫人の仏像を本堂に祀っていました。

これら2つの理由から、施薬院はやがて「勝鬘院(しょうまんいん)」と呼ばれるようになったと言われています。

愛染堂と呼ばれ始めたのは仏尊が関わっている

現在も正式名称は「勝鬘院(しょうまんいん)」です。ですが、その前に「愛染堂(あいぜんどう)」とついていますよね。勝鬘院が「愛染堂」と呼ばれるようになったのにも、理由があります。それは仏尊が愛染明王だからです。

ここで「あれ?」と思われた人もいるかもしれません。勝鬘院(以前の施薬院)では、祀られているのが勝鬘夫人の仏像です。聖徳太子がわざわざ安置したありがたい仏像です。それなのに、愛染明王が仏尊とはどういうことなのでしょうか。

実は平安時代に入り、本堂に愛染明王がご本尊として安置されました。これと同時に愛染明王信仰を広める動きが活発化したため、勝鬘院全体が「愛染堂」と呼ばれるようになったのです。

愛染明王はどんな仏様?

愛染明王
愛染堂勝鬘院のご本尊は愛染明王です。愛染明王を拝顔したことがある方はわかるかもしれませんが、見た目がかなり怖い神様です。

そんな愛染明王はどんな仏様なのでしょうか?調べましたので、ご紹介します。

煩悩を悟りに変えて導いてくださる仏様

愛染明王は、主に煩悩を悟りに変えて導いてくださる仏様です。

人間にはさまざまな煩悩があります。「もっとお金が欲しい」や「もっと愛されたい」などのような思いはすべて煩悩なのです。

大晦日にはお寺で除夜の鐘を108回つきますよね。これは一年の煩悩を鐘を撞くことで祓うという意味があります。ですが、一年経つと再び108もの煩悩にまみれてしまいます。人間とはそういう生き物なのです。

愛染明王は、このような祓っても祓ってもすぐに湧き上がってきてしまう人間の煩悩を取り除くのではなく、そのまま悟りに変えて導いてくださいます。祓わなくても悟りを開く道はある、ということを指し示して導いてくださるのです。

見た目の怖さとは裏腹な仏様

愛染明王をご覧になったことがある人は、どのようなお姿なのか想像がつくかと思います。見た目がかなり怖いのです。そのお顔は「鬼の形相」と言っても過言ではありません。

ですが、このような怖いお顔をされているのは人間に付け入ろうとする悪鬼を追い払うためです。怖い形相で悪鬼を祓って人間を悪い考えや煩悩から守ろうとしてくださっています。

愛染明王は、救いを求める人たちには誰でも手を差し伸べてくださいます。煩悩を祓わなくてもそのまま悟りを開く方法があると導いてくださるところから考えても、大変優しい仏様だということがわかるでしょう。

確かに見た目は鬼のような形相をされた怖い愛染明王ですが、その内面は大変慈悲深くて優しい仏様なのです。

愛染明王の主なご利益

浴衣姿の男女
愛染明王に祈願すると、さまざまなご利益があるとされています。愛染堂勝鬘院が連日参拝者でにぎわっているのは、このご利益の多さに由来しています。

そんな愛染明王が与えてくださるご利益について調べましたので、ご紹介しましょう。

アパレル業界で愛されている仏様

実は、愛染明王はアパレル業界で最も愛されている仏様なのです。その理由は愛染明王の名前の漢字に由来しています。

「愛染(あいぜん)」は読み方を変えると「愛染(あいぞめ)」と読むことができます。昔、着物には藍染(あいぞめ)という技法が多く使われていました。美しく藍染された着物は大変人気が高く、高値で取引されたそうです。そんな「藍染」を「愛染」にかけて、染物職人や着物を取り扱うお店などで大変愛されました。

その名残は現在も続いていて、藍染職人さんはもちろんアパレル業界に関係している人たちの中にも、愛染明王に祈願される方が多く存在しています。

愛嬌が必要な芸能人にも人気がある

愛染明王は見た目は怖いという印象を与えていますが、実は大変慈悲深くて愛嬌のある仏様です。見た目からは想像できないかもしれませんが、愛嬌開運も授けてくださる仏様なのです。

そのため、愛嬌が必要な芸能人にも人気があります。愛嬌というのは本人の努力でどうにかなるものではありません。「天性のもの」と言われているように生まれ持った素質なのです。その素質を与えてくださるようにという願いを込めて、愛染明王に祈願する芸能人が多いのだそうです。

恋愛成就や家族円満の仏様

愛染明王が大勢の人たちから愛されている大きな理由の一つに、恋愛成就や家族円満というご利益があります。人とのつながりや絆を深めてくれる仏様なのです。

そのため、片思いをしている人はもちろん、出会いがないと悲しんでいる人たちも愛染明王に祈願します。愛染明王に祈願することで、片思いが両思いになったり、素敵なパートナーに巡り会えたりする人が多くいるのだそうです。

また、一度壊れてしまった絆を再び結び付けてくれるということも愛染明王はしてくださいます。夫婦仲や家族仲があまり良くない人や、大切なパートナーとの仲がうまくいっていない人も、藁にも縋る思いで愛染明王に祈願されるのだそうです。

縁結びから商売繁盛のご利益もある

愛染明王は、縁結びの神様として大変有名です。「縁結び」と聞くと「恋愛」を連想する人がいるかもしれません。ですが、縁とは本来人と人との結びつきで、何もそれは男女間に限ったことではありません。

仕事でも人との縁はとても大切になります。良縁に恵まれることで、嬉しい仕事に巡り会えたり、仕事での良きパートナーに出会えたりするのです。

このことから、愛染明王は商売繁盛の神様としても大変有名になっています。

まとめ

愛染堂勝鬘院という名前に、疑問を持った方もいるかもしれませんね。そこには、愛染明王と、勝鬘夫人という二人の神様が関係していたのです。

愛染堂勝鬘院は、たくさんのご利益を授けてくださるお寺です。何か困ったことがあった時や神様の力を頼りたいと思った時には、ぜひ愛染堂勝鬘院を訪れてみてください。

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