【夏の日本の花】蓮の花は縁起の悪い花って本当なの?

 

 

8月の花といえば、ひまわりや朝顔がまず頭に思い浮かぶ方が少なくないでしょう。けれど日本人なら蓮の花もお忘れなく!寺社の多くで見かけることができますよね。…だけれど、蓮は縁起が悪いだなんて言われている、とか!?それって本当なのでしょうか…?

蓮の花について貴方はどれくらい知っていますか?

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そもそも蓮の花とは?

「蓮(ハス)」はスイレン科の多年草で池や沼地で育ちます。野菜のレンコンは漢字で「蓮根」と表記し、蓮の茎が泥の中で成長したものを指します。漢字の成り立ちにもあるハチの巣のような穴の空いた断面は誰もが一度は目にしたことがありますね。
水の底に根を張り、成長すると長い茎を伸ばして水面に大きな葉っぱを広げます。そして、7~9月の夏の時期には白、ピンク、黄など彩り鮮やかな花を咲かせるわけです。
寺社の池に夏、蓮の花が競うように花を咲かせている風景は、
まさに日本人の心に染み入る夏の風物詩といえるでしょう。
仏さまの台座にも蓮の花が見られるように、仏教とも関連の深い花のひとつです。

蓮の花の花言葉って?

蓮(ハス)の花言葉は、「清らかな心」、「神聖」、「雄弁」、「離れゆく愛」、「休養」

ハスはきれいな水より、泥水の中の方が大きな花を咲かせることから「清らかな心」という花言葉がついたといわれます。また、早朝に花を開き、午後になると花を閉じる規則正しいリズムを持っていることから 「休養」という花言葉がつきました。

やはり仏教に縁の深いお花なだけあって、花言葉にも清いイメージを伴う単語が並びます。
いかにも縁起がよさそうなお花に感じられますね?

そんな蓮の花なのに、縁起が良くないって?

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仏様は蓮(ハス)の花に座っています。
不浄の象徴とも言うべき泥の中で美しい花を
咲かせることから仏教では愛される花と
なっているようです。こちらも決して縁起悪いという意味はまったくなく
そういう意味では祝いのラッピングに使用しても
良いようにも思えます。。。が、蓮→仏様→極楽→あの世の花 と連想して
しまうため祝いの席では敬遠されてしまうのでしょう。
けして蓮の花に罪はないのですが…、
蓮の花といえば仏教、というイメージが祝い事ではどうも敬遠されがちなようです。仏式での葬儀の場合には蓮の花のあしらわれた不祝儀袋を用いることがありますが、
この連想もあるようです。

でも蓮根は縁起がいいっていうのに…?

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ふと考えてみると、蓮の根っこの蓮根は、おせちにも登場するほど縁起がいい食べ物ですね?
 れんこんには9~10個の穴が開いており、昔から「見通しがきく」として、お正月や慶事には欠かさず登場する野菜です。この穴は通気孔の役割をしていて、地上の葉から節を通って先まで繋がっています。他にもれんこんには種が多いことから「多産」という意味もあり、縁起がよいとされています。
ヘンな話…という気がしなくもありませんが、
理屈で割り切れないのが「縁起」というものである、ともいえるでしょう。

蓮の花はけれど人にとっては「縁起が良い花」なのです

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仏道を連想させるから、祝い事には向いていないのでしょう。
それは致し方のないこと…。けれど蓮の花そのものは、とても有難いことを教えてくれる花なのです。

蓮の花の三つの特徴が示す人の生きる道

1、 花果同時

・・・花が開いたときに、すでに果実の赤ちゃんが中にいる、という大変珍しい花ですし、

2、 汚泥不染

・・・どんなに汚い水の中から立ち上がってきても、絶対に花が汚れることはなく、

3、 蓮花にあだ花なし

・・・咲きそこなったり、汚く咲く花はない。ということがいわれています。

「花果同時」には常に先々の希望がある、と感じられますし、
「汚泥不染」には苦難の先にまつ明るい未来を想像します。
そして「蓮花にあだ花なし」という言葉には、蓮の花のように無駄な存在などないのだ、
ということを悟らせてくれます。こんなに人にとって大事な指標を与えてくれる花でもあるのですね。
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白隠禅師和讃の中に、「衆生本来仏(しゅじょうほんらいほとけ)なり」という言葉がある。

私たちは、本来、仏である、という意味だが、我々は本来、蓮の花と同様に、どんな劣悪な環境であっても、美しい花を咲かせることができる、ということ。

現代にはさまざまなストレスが潜み、いろんな悩みを抱えている人が後をたちません。
けれども、人に与えられた可能性は本来無限のもの。悩みの先にはきっと明るい未来が待っている…めったにない蓮の花の咲き方からは、そう感じさせてくれます。
縁起が悪い花だとは、けして思えませんよね…?

ちなみに中国では吉祥の花とされているそうです

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蓮の花は「和の花」。中国語では「荷花」と呼ばれ、「荷」は「和」と同音(フー)です。泥の底から成長し、明るい色の花を咲かせます。中国での佛教の普及は、 佛と菩薩が蓮の花の上に鎮座する姿を描いた芸術作品を生み出し、汚れのない蓮の資質が浮き彫りにされました。こうして蓮の花は純粋な心と吉祥の象徴となったのです。静謐な水の中、緑の葉の間で静かに成長する姿は、俗世界を超越した穏やかで霊妙な美しさを反映しています。
蓮の花にどことなく中国っぽさを感じる人も少なくないでしょう。
それは蓮の花を用いた装飾品が中国には多いからかもしれませんね。中国ではまぎれもなく、めでたいしるし、そして理想郷を示すものとして蓮の花が使われているのです。

どうでしょうか?蓮の花のフクザツな立場、理解いただけましたか?

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その立ち姿は美しく、早朝からカメラマンを集まらせる。
けれどモチーフとしては縁起が悪いからと避けられる…そんな両極端な蓮の花ですが、けっして「悪い花」ではないのはご紹介したとおりです。夏の蓮の季節には、ぜひ実物の花を観に行って、
蓮の花のほころんでいる姿にさまざまな想いを馳せてはみてはいかがでしょうか…?

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