訶梨勒(かりろく)って知ってる?魔除けや病を治すと言われた不思議な植物!

 
匂い袋

訶梨勒という言葉を聞いたことがあるでしょうか?魔除けや病を治す効果があると言われている不思議な植物のことです。現在でも、魔除けという意味で訶梨勒を使ったアイテムが売られています。そんな訶梨勒について調べてみましたのでご紹介します。

訶梨勒(かりろく)とは?

匂い袋
訶梨勒(かりろく)という言葉を聞いたことがない人もいるでしょう。外国から伝わった植物なのですが、日本での歴史が古いという意外な一面もあります。

そんな訶梨勒について調べましたので、ご紹介致します。

インド原産の植物

訶梨勒(かりろく)はインド原産の植物です。葉っぱは楕円英の形をしていて、枝先に小さな白い花が群れのような形になって咲きます。

熱帯や亜熱帯に生息する植物で、日本には中国やインドから伝来されたと言われています。

主な役目は魔除けの匂い袋

中国やインドなどでは、訶梨勒は主に風邪の治療に使用されていたそうです。その他に、便通改善としても利用されていたのだとか。重い病気ではなく、どちらかというと軽い症状の病の治療に使われていたという記述が残されています。

ただし、これらはすべて薬として使用されていたわけではありません。一部薬として使用されていたという記述も残っているようですが、その多くは魔除けとして利用されていたそうです。

軽い病は肉体に悪い気が入ったと考えられていたため、訶梨勒を用いてその悪い気を肉体から外へ追い出し、病を治すという考えがあったのだとか。

これが転じて匂い袋としても利用されていたとのことです。

日本では室町時代から続いている縁起物

中国やインドでは遥か昔から訶梨勒は使用されていました。そんな訶梨勒が日本に伝来したのは室町時代だったそうです。

訶梨勒は当時、日本には存在しない植物でした。すべて中国やインドからの輸入に頼っていたのです。当然、値段も跳ね上がり大変高価なものになります。

室町時代では訶梨勒は、このようなめったに手に入らない希少品ということから、縁起物として大変珍重されていました。

高貴な方への贈り物やお祝い事に、訶梨勒が贈られていたのだそうです。また、訶梨勒の匂い袋も大変人気で、デザインや柄に凝った袋に訶梨勒を入れて贈ったという記述があります。

日本での訶梨勒の使い方

お茶と茶菓子
訶梨勒は日本にはない植物でした。そのような植物を日本ではどのように使っていたのでしょうか。

日本での訶梨勒の使い方について調べましたので、ご紹介しましょう。

最初は書院の柱飾りだった

訶梨勒が日本に入ってきたのは室町時代の頃です。この頃の訶梨勒の主な使い方は、書院の柱飾りでした。

書院とは書斎も兼ねた居間のことです。この柱に訶梨勒が飾られていたのだとか。

訶梨勒は中国やインドでは魔除けや厄払いの効果があるとされて使用されていました。その考え方や使い方が訶梨勒と共にそのまま日本にも伝わります。

室町時代では貴族などの家は書院造が一般的でした。書斎と居間も兼ねた書院は、最もリラックスできる場所と言っても良いでしょう。そのような場所に悪い気や鬼が入り込んでは困ります。そこで、安心して落ち着くことができる場所になるようにとの願いも込めて、書院の柱飾りとして訶梨勒の匂い袋が飾られていたのです。

象牙や銅などで訶梨勒を形作ったものもあった

訶梨勒は当時は、中国やインドから輸入するしか手に入れる方法がありませんでした。大変希少で手に入りにくい品物だったのです。

そこで、当時の人たちはこの希少な訶梨勒を模したものを象牙や銅などで作りました。素材は別物ですが、訶梨勒の形を模して作ることで、訶梨勒と同じ厄払いや魔除けの効果があると考えられていたのです。

ただし、模して作るための素材には高価なものが使われていました。安い素材では、魔除けや厄払いの効果が激減すると考えられていたのでしょう。当時から大変高価な素材として知られていた象牙や銅が使われていたのはその為です。

お茶席やお祝いの席などで使われることが多い

訶梨勒は書院の柱に飾られることが多くありました。ですが、訶梨勒自体はとても高価な代物です。そのため、お茶席やお祝いの席などでも大活躍したようです。

お茶席やお祝いの席では、高価なものを使用するというのが定番になっていました。普段とは違う高価なものを使用することで、お祝いする気持ちを表したり喜びの気持ちを示したりしていたのです。訶梨勒は大変高価なものでしたから、このようなおめでたい席でもぴったりだったのですね。

また、訶梨勒は大変色鮮やかな袋に入れられていました。そのような色鮮やかな袋に入った訶梨勒をお茶席やお祝いの席に飾ると、その場がさらに華やかになって楽しい気持ちが倍増します。その場を鮮やかに彩るという意味でも、訶梨勒は飾られていたようです。

さらに、悪鬼や悪い気は楽しい雰囲気の場所に集まってくるという考え方もあったようです。楽しい場所に入り込んだ方が、人間はその悪い存在に気づきにくくなると考えらていたのですね。そのようなことがないようにという意味でも、魔除けや厄除けの効果があるとされていた訶梨勒は飾られていたのです。

訶梨勒が魔除けの匂い袋とされている理由

蓮の花
訶梨勒が魔除けの匂い袋として使用されるようになったのには、どのような理由があったのでしょうか。

その理由についてさらに深く掘り下げて見ていきましょう。

訶梨勒の実には咳や胃腸を治す効果があった

訶梨勒が魔除けの匂い袋として使用されるようになった理由の一つに、訶梨勒の使われ方があります。

インドや中国では、訶梨勒の実には咳や胃腸を治す効果があるとされていました。と言っても、病気を治すための薬として使用されていたわけではありません。比較的症状が軽い咳や胃腸の病は、人間の体内に悪いものが入り込んだためという考え方があったのです。その悪いものを外へ追い出すことで、それらの病は完治するとされていました。

この考え方は訶梨勒と共に日本に伝わりました。「それなら訶梨勒を匂い袋にしてぶら下げておけば、悪いものから守られる」と考え、匂い袋として訶梨勒が使用されるようになったのです。

涅槃図に訶梨勒が描かれている

訶梨勒が魔除けの匂い袋として使用される理由はもう一つあります。それは、涅槃図に訶梨勒が描かれているという点です。

涅槃図とは、お釈迦様が入滅された図のことです。簡単に言うなら、亡くなって極楽浄土へ旅立ったということです。

お釈迦様が涅槃に入った時、そのことを知ったお釈迦様の母親が天上から舞い降り、訶梨勒の実を投げつけたという逸話が残されています。しかし、あいにく近くにあった木にひっかかって届かなかったのだとか。

この逸話を示すかのように、涅槃図には木にぶら下がった訶梨勒が描かれています。

このことから、訶梨勒にはお釈迦様のありがたいご利益が宿っていると考えられるようになりました。同じように訶梨勒を袋に入れて匂い袋として使用することで、お釈迦様のありがたいご利益が得られるとされたのです。

まとめ

訶梨勒(かりろく)というものを、初めて聞いたという人もいるでしょう。ですが、実際には中国やインドでは3000年も前から、日本でも室町時代から訶梨勒は魔除けや厄除けの匂い袋として使われていました。

現代でも訶梨勒の匂い袋は購入することができます。魔除けや厄除けの意味を込めて、購入して自室に飾ってみるのも良いかもしれません。きっとお釈迦様のありがたいご利益を賜ることができるでしょう。

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