近畿地方の中南部に位置する奈良県。その奈良県には、たくさんの世界遺産があるのをご存知ですか?実は奈良県の世界遺産の数は、日本全国で1位なのです。古都と呼ばれるくらい古い歴史がある場所ですから、世界遺産も数が多いのですね。そんな奈良県にある世界遺産をご紹介していきます。
もくじ
奈良にある世界遺産は全部で3つ
2019年9月現在、日本の世界遺産の数は23箇所です。その中で奈良県は3つと、日本で断トツトップの世界遺産の数を誇っています。
奈良県に存在している世界遺産は、法隆寺地域の建造物、古都奈良の文化財、そして紀伊山地の自然遺産と、その種類も多岐にわたっています。
奈良は古くから都があり、大変栄えた場所です。それだけ古くから存在する貴重で希少な建造物や文化財が多いのでしょう。
世界遺産に含まれる神社仏閣や自然遺産が多い
また、奈良は一つの世界遺産に含まれる神社仏閣が多いことでも、群を抜いています。
奈良は仏教発祥の地です。そのため、仏教にまつわる神社仏閣はもちろん、史跡なども多数存在しています。
奈良の1箇所の世界遺産を赴くだけでも、数々の建造物や文化財を見学することができます。世界中の観光客が奈良に集まるのも頷けますね。
奈良の世界遺産【神社仏閣編】
奈良にたくさん存在する世界遺産。
奈良は仏教を日本に広めるための拠点となった都が存在していた場所です。そのため、たくさんの神社仏閣が存在しています。
奈良に存在する数々の世界遺産の中でも、まずは神社仏閣に焦点を当てて紹介します。
東大寺(とうだいじ)
聖武天皇が、あらゆる国の力を尽くして建立したお寺です。
東大寺の中には、「奈良の大仏」と呼ばれて親しまれている大きな盧舎那仏(るしゃなぶつ)様が、ご本尊として安置されています。
東大寺は過去に2度、戦渦に巻き込まれて多くの建造物が焼失したという歴史があります。
春日大社(かすがたいしゃ)
藤原氏(当時は中臣氏)の氏神様を祀るために建立された神社です。
日本全国には約2000の春日神社が存在していますが、奈良県にある春日大社はそれらの総本山でもあります。
春日大社は奈良に都ができた頃、日本の国の繁栄と国民の健康を願って、日本神話に登場する武甕槌命(たけみかづちのみこと)をお迎えしました。この時、武甕槌命は白鹿に乗ってやってきたという逸話があり、ここから春日大社では鹿を神の使いとしています。
興福寺(こうふくじ)
藤原鎌足と藤原不比等にゆかりが深いお寺です。
興福寺は度重なる火災に見舞われて焼失し、そのたびに再建されているお寺です。古代から中世にかけては絶大な力を持っていたお寺でもありましたから、それだけ戦渦に巻き込まれることも多かったのでしょう。
法隆寺(ほうりゅうじ)
聖徳太子が建立したとされているお寺です。日本中に仏教を広め、定着させるための拠点ともなっていました。
法隆寺は聖徳太子と縁が深いことから、聖徳太子に関連した複数の御朱印が頂けます。法隆寺で頂ける御朱印については、別の記事で詳しくご紹介しています。ぜひ、そちらの記事も参考にしてみてください。
薬師寺(やくしじ)
天武天皇が自身の皇后の病の治癒祈願したお寺です。
ご本尊は薬師如来様で、世界一美しい仏様と言われています。
薬師寺は度重なる人災や天災に見舞われ、20世紀半ばまで「竜宮造り」と呼ばれた美しい伽藍(がらん)は焼け落ちたままになっていました。
1968年に薬師寺元管主の高田好胤(たかだこういん)和上によって再建計画が始まり、2017年5月に復興事業がほぼ完了しました。
唐招提寺(とうしょうだいじ)
鑑真和上は日本で、戒律を学ぶ修業のための道場を開こうとしていました。ですが、道場として利用できる建物が見つかりません。
そんなとき、朝廷は天武天皇の皇子が自宅として使っていた旧宅跡を鑑真和上に譲ります。
鑑真和上は朝廷から譲り受けたこの旧宅跡を道場として開き、多くの人たちに戒律を伝えたと言われています。
元興寺(がんごうじ)
日本最古の本格的な仏教寺院の飛鳥寺(あすかでら)が平城遷都と共に、新たに建立されたお寺です。
ただ、飛鳥にすでにあった飛鳥寺はそのまま残る形となり、現在は飛鳥にあるお寺を「法興寺」または「本元興寺」と呼び、平城京内に新しく建立したお寺を「元興寺」と呼んでいます。
法起寺 (ほっきじ)
法起寺がある場所には、もともとは「岡本宮」と呼ばれる建物が立っていました。そこは、聖徳太子が法華経を講じた場所だったそうです。
聖徳太子没後、遺言によって子息である山背大兄王(やましろのおおえのおう)が、お寺に改築したのが、現在の法起寺にあたります。
金峰神社(きんぷじんじゃ)
千本桜で有名な吉野山にある神社です。
中には吉野山の地主神である金山毘古命(かなやまひこのみこと)が祀られています。
奈良の世界遺産【名所・史跡編】
奈良には神社仏閣以外に、名所や史跡なども世界遺産として登録されています。
神社仏閣巡りをすると同時に、名所や史跡も回ってみると、より古都奈良の歴史が身近に感じられるでしょう。
平城宮跡(へいじょうきゅうせき)
奈良に存在した平城京の中心とも言える存在です。天皇が住んでいた場所と考えると良いでしょう。
日本で初めて考古遺跡として世界遺産に登録された場所でもあります。
正倉院(しょうそういん)
平城京が栄えていた時に利用されていた、高床式の宝物庫です。
特に天武天皇や光明皇后(天武天皇のお后様)にゆかりのある品や、その当時の美しい美術品、民芸品などが保管されていました。
春日山原始林(かすがやまげんしりん)
奈良県奈良市の東方にある原始林です。
この場所は春日大社の神域として守られ、狩猟はもちろん、木材の伐採も禁止されてきました。
原始林ですから自然遺産として登録されていると勘違いされがちですが、奈良としての景観保全にも重要な役割があるため、古都奈良の文化財の一部として世界遺産に登録されています。
奈良の世界遺産【自然編】
奈良にはたくさんの自然も残されています。それは、自然そのものがご神体として考えられていたからでしょう。
奈良は仏教を日本中に広めた拠点という重要な役割も担っていました。自然は神様の領域という考えも根強かったため、自然も大切にされてきたのです。
奈良の世界遺産として登録されている自然遺産は2つあります。その2つを紹介します。
吉野山(よしのやま)
春になると桜が満開になる名所としても有名な吉野山は、神様が住むご神体として昔から大切にされてきました。
吉野山には金山毘古命(かなやまひこのみこと)という地主神様が存在し、山が荒れて人間に危害を加えることがないように守ってくださっています。
吉野山は毎年大変美しい桜を咲かせ、見る人を楽しませてくれます。これは桜守(さくらもり)と呼ばれる、桜の木のプロが吉野山の桜を守っているからです。桜守は桜が病気になっていないかチェックしたり、新しい桜の苗木を植えたりしています。あの美しい桜の景観は、人間の手によって大切に守られているのです。
大峰山(おおみねさん)
奈良県南部にある山で、修業の山とされています。
修験道(しゅげんどう)という、山にこもって修業を行なうための山とされていたのです。
大峰山にも神様が存在し、山そのものがご神体とされています。大峰山自体を神様だと考えているのです。だからこそ、この大峰山は修験道の聖地と呼ばれているのですね。
まとめ
奈良県にはたくさんの世界遺産が存在します。とても一日ですべてを回りきることはできないでしょう。
奈良県の世界遺産は遠い過去の日本の歴史を伝える存在でもあります。ゆっくり時間をかけてめぐることで、遥か昔の日本に触れることができるでしょう。
奈良県の世界遺産巡りをされる際には、ぜひゆっくり時間をかけて回ってみてください。悠久の時間を感じるようにすることで、新たな発見があるかもしれませんよ。